銀英伝 キルヒ贔屓

学生だったころ田中芳樹さんよく読んだんですよねー。はじめはクランプの絵に惹かれて創竜伝でした。アルスラーンとかも読んだんですが、このひと未完作多すぎじゃないですか?

銀河英雄伝説は初期作品できっちり完結させた数少ない作品ということらしいですが、イマイチ乗り切れなくて3巻頭くらいから放置していました。この度思い立って再読したので感じたことを残しておこうかと。

 

まず文体が…最近ライトノベルか実用書くらいしか読んでいなかったので、思いがけずガチガチに感じてしまい、慣れるのに時間がかかりました。あと密度がすごいので一冊読了するのに時間と気力が必要でした。定期的にちゃんとした本読まないと駄目ですね。読んでいる時頭の中で錆つきかけた歯車が動いている感じでした。余談ですが私は読書は断然紙派。あと中途半端な平仮名表記に断固反対派です。使わないと本当に忘れられていくからね。そもそも熟語の前だけ平仮名とかまじ理解に苦しみますよ。

 

さて、私にとっての以前の銀英が3巻頭で終わってしまった理由。それは言わずもがな、キルヒアイスの死です。もう大部前なのにあのシーンだけは号泣した記憶とともに鮮烈に覚えています。そして今回、行末を知っていても号泣から逃れることはできませんでした。キルヒアイス…うぅっ…。今回こんな文を書きたくなったのも全てはキルヒアイスのためです。

正直キルヒアイスの死んだ後のラインハルトが苦手なんです(でもそれ以上にヤンは苦手。よって帝国派)。ラインハルトが満たされることがなくなってしまったから帝国側に余裕が感じられない。征服者のはずなのに常に追い立てられている感と飢餓感が付き纏っています。私はラインハルトに幸せになって欲しかったんだと思います。でも宇宙を手に入れ、美しい妻と子供を得ても彼が幸せだったとはどうしても思えないのです。

2巻終わりで亀裂が走ってしまっていたのでキルヒアイスが生きていれば全てがうまくいっていたとは思いませんが…。しかし、私にはラインハルトの皇帝病が片翼を失った末の自家中毒にしか見えませんでした。

 

あと関係ないんですが、多分今の時代って、ラインハルトみたいな人のこと厨ニ病って呼びますよね。なんかそれって改革の芽を潰してる感があります。改革には現状の打破が必要ですが、現状からはみ出がちな人を我々は何故こんなにも嫌ったり区別しようとするのか。これが、ムラ根性というものなら大分根が深い問題と思いますね。現代日本の閉塞感は余裕を許さない空気にもあると考えますが。